その症状は寒暖差アレルギー!?
暖房の効いた屋内と寒い屋外との寒暖差が大きくなるこの季節。通勤や買い物などで外出するたびに、くしゃみや鼻水の症状に悩まされていませんか?多くの人が「また風邪をひいてしまった」と思いがちですが、それは「寒暖差アレルギー」による症状かもしれません。
寒暖差アレルギーについて解説します。冬場の体調管理に役立てましょう。
寒暖差アレルギーは、医学的には「血管運動性鼻炎」または「特発性鼻炎」と呼ばれる非アレルギー性鼻炎の一種です。
アレルギーといっても、実際には花粉症のようにアレルギー反応を起こしているわけではありません。主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどで、風邪や鼻炎とよく似た症状が表れます。ひどくなると頭痛やだるさなどを引き起こすこともあります。
では、なぜこのような症状が起こるのでしょうか。体は急激な温度変化に対して、血管を収縮させたり拡張させたりして体温調節を行います。特に温度差が大きくなると、鼻の粘膜の血管が急激に反応し、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
その結果、鼻粘膜が腫れたり、分泌物が増えたりして、くしゃみや鼻水などの症状が表れると考えられています。寒暖差が7℃以上になると症状が出やすいとされており、例えば暖房の効いた屋内(20~25℃)から寒い屋外(5℃以下)に出るときなど症状を感じる人もいます。そのほかに寝不足や過剰なストレス、疲労が重なると体温調節機能が低下し、より症状が出やすくなることも分かっています。
風邪との大きな違いは、発熱がほとんどないことです。また、風邪が徐々に症状が表れるのに対し、寒暖差アレルギーは温度の変化とともに突然症状が出現します。症状の持続時間も風邪より短く、数時間から1日程度で治まることが多いのが特徴です。
寒暖差アレルギーの予防
同じ屋内でも暖房のよく効いた部屋と暖房をしていない部屋を移動する際は、寒暖差が大きいため注意が必要です
加湿器を使用して屋内の湿度を50~60%に保つと、鼻や喉の粘膜を守ることができます。
服装は薄手の衣類を重ねて着るのがポイントです。一枚の厚手の服より、薄手の服を何枚か重ねる方が必要に応じて着脱できるため、体温調節がしやすくなります。首元を温かく保つことで急激な温度変化から体を守ることができますので、マフラーやストール、ネックウォーマーは必需品です。特に耳や首の後ろは体温調節に重要な部分なので、しっかり防寒することが大切です。
自律神経の働きを維持するために、日々の体調管理も重要となります。十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動を心掛けましょう。就寝前の入浴で体を温めることも、体温調節機能を整えるのに効果的です。熱過ぎるお湯は逆効果なので、ぬるめのお湯でゆっくり入浴をおすすめします!
予防のポイントを試しても症状が気になる場合は、市販薬として売られている抗ヒスタミン薬や血管を収縮させる成分を含んだ点鼻薬を使用することで症状が和らぐことがあります。
市販薬を使用する際は使用前に必ず説明書をよく読み、用法・用量を守ることが大切です。特に点鼻薬は、1週間以上の連続使用は避けましょう。長期間使用すると、かえって鼻づまりが悪化する「薬剤性鼻炎」を引き起こす可能性があります。
市販薬で症状が改善しない場合や、症状が長引く場合は、耳鼻咽喉科などの医療機関を受診してください。症状の程度や体質に合わせてより適切な治療薬が処方されます。一般的な処方薬には、抗ヒスタミン薬、抗コリン薬、ステロイド配合の点鼻薬などがあります。これらは市販薬より効果が高く、症状をより確実にコントロールすることができます。そのほか、漢方薬が用いられることもあります。
症状が出たときは「また風邪か」と諦めるのではなく、その原因が寒暖差による反応かもしれないと考えてみましょう。そして、ご自身の生活スタイルに合わせて、予防法を取り入れてみてください。実践しても症状が改善しない場合は、医療機関を受診し医師に相談することをお勧めします。
コメントをお書きください